くまてつ@日本語教師です。
フリーの日本語教師かつコンサルタントなので、授業したり、教案を作ったり、先生たちと文法や日本語についてあれやこれや論議する毎日です。
その中で、初級の生徒から「石器」は「せっき」と読むのに「石碑」は「せっひ」ではなくて「せきひ」と読むのはなぜですかと質問を受けました。
この質問が中国人の学生からでてくるのは感慨深いものがあります。
なぜかと言いいますと「促音」つまり小さい「っ」の発音は遠い昔中国から漢字が日本に入ってきたときに一緒に輸入した漢字の音読みと関係があるからです。
でも、そこを掘り下げていっても切りがないので、簡単にルールをまとめておきます。
漢字の音読みは必ず「い・う・き・く・ち・つ・ん」で終わる
訓読みではなくて音読みの場合はたった7種類の終わり方しかない。
本当かどうかわかりませんが、音読みは「い・う・き・く・ち・つ・ん」で終わるそうです。
しかも最長で2つの音節しかないそうですので「○い」「○う」「○き」「○く」「○ち」「○つ」「○ん」のパターンしか存在しないことになります。結構少ないんですね。
促音化するものは「き・く・ち・つ」で終わる音読が鍵
つまり音読みで「き・く・ち・つ」終わる漢字が含まれる単語は促音化する可能性があります。
例えば「石」(セキ)「学」(ガク)「日」(ニチ)「発」(ハツ)などです。
もう少し詳しく説明すると「き・く・ち・つ」で終わる漢字に「カ行・サ行・タ行・ハ行」で始まる漢字が続くと促音化することがあります。
しかし、必ず促音化するわけではなくさらに細かいルールがあります。
促音化のルールは全部でだいたい3種類
「○き」「○く」+カ行の単語
すっごくわかりにくいので例を示します。
まずはスライドをご覧ください。
最初の漢字「石(セキ)」は「き」で終わる音読みの漢字です。
この漢字に「器(キ)」が続いてできた単語が「石器」です。
この「器(キ)」はカ行の音で始まる漢字ですので、促音化します。
つまり最初の「石(セキ)」の「キ」が小さい「ツ」に変わり「セッキ」という発音になります。
同様に「学(ガク)」は「ク」で終わる漢字で、続けて「校(コウ)」とくると、それはカ行の音「コ」で始まるので促音化して「ガッコウ」と読むようになるわけです。
「○き」「○く」+サ行・タ行・ハ行の場合は促音化しない。
とはいえ「○き」「○く」にカ行以外の音で始まる漢字が続く単語の場合は促音化しません。たぶん。
例えば「石碑」は「セキ」+「ヒ(ハ行)」で促音化せずに「せきひ」と読みます。
また「学習」も「ガク」+「シュウ(サ行)」ですので促音になることなく「ガクシュウ」とそのまま読むわけです。
「き」「く」はカ行に続くときのみ「ツ」と変化する訳ですね。
「○ち」「○つ」+カ行・サ行・タ行の場合
語彙力の選択にセンスがなくてすいません。
でもわかればいいんです。
例えば「○ち」な漢字「日(ニチ)」にカ行・サ行・タ行の漢字が続くと促音になります。
スライドで示したとおり「日記(ニッキ)」「日誌(ニッシ)」「日体大(ニッタイダイ)」などがあります。
この組み合わせは例外なく促音となります。
「○ち」「○つ」+ハ行の場合
この場合は「ち」や「つ」が促音になるだけではなく、続くハ行の音も影響を受けます。
例で示したとおり「一票」は「イッピョウ」と読みますが「ち」が「っ」になっただけではなく「ひ」も「ぴ」になってしまいます。
このあたりまできれいに説明できれば、恐らく生徒は納得してくれるのではないかと思います。
でも促音になるかどうかは「習うより慣れろ」の方が正しい
日本語母語者が規則を意識しない。
そういってしまうとここまでの説明が無駄になるような気もするのですが、結局は習うより慣れろなんだろうと思います。
単語の意味ではなく、音で促音になるかどうか決まるわけですから、繰り返し練習することで生徒は自然にこのルールをつかむはずです。
それで結局は良質な例文や文章を繰り返し読み聞き考えることが上達の近道だったりする訳なんでしょうね。
くまてつでした。