みんなの日本語

みんなの日本語 初級 第7課 まとめ

くまてつ@日本語教師です。

みんなの日本語第7課の主な内容は「あげます」「もらいます」です。

相手に何かをしてあげる。もしくはしてもらう。という文型を考えます。

それに伴って助詞の「に」や「から」さらに「で」についても確認します。

では早速内容を概観していきましょう

あげます の問題

相手に何かをあげる、もしくは何かをしてあげる時に使う文型です。

授受表現に関してはあとでしっかり学びますが、第7課では動詞そのものに相手に恩恵をしめす意味がある例を考えます。

第7課で下記の動詞について勉強します。

  • あげます
  • 貸します
  • 教えます
  • (手紙を・メールを)書きます
  • 送ります
  • (電話を)かけます

気をつけるべきは語順と助詞の使い方

例文で確認してみましょう。

わたしは リンさんに 花を あげました。

順番としては下記のようになります。()は助詞

  1. 主語(主題)の「わたし(は)」←あげる人
  2. 受け取る対象の「リンさん(に)」←もらう人
  3. 送ったモノの「花(を)」
  4. 述語「動詞のあげます」←渡すという意味

述語が「教えます」に変わっても語順は変わりません。

わたしは リンさんに 日本語を 教えます。

  1. 主語(主題)の「わたし(は)」
  2. 受け取る対象の「リンさん(に)」
  3. 教えるの目的語の「日本語(を)」
  4. 述語「動詞の教えます」

比較的簡単ですね。

もらいますの問題

相手に何かをもらう、もしくは何かをしてもらった時に使う文型です。

第7課では動詞そのものに相手から恩恵を受けたという意味がある例を考えます。

第7課で下記の動詞について勉強します。

  • もらいます
  • 借ります
  • 習います
  • (手紙を・メールを・電話を)もらいます

気をつけるべきは語順と助詞の使い方(あげますと一緒)

受け取ることを表現する文とあげることを表現する文の語順は一緒です。

例文で確認してみましょう。

わたしは リンさんに 花を もらいました。

順番としては下記のようになります。()は助詞

  1. 主語(主題)の「わたし(は)」←もらう人
  2. 送り主の「リンさん(に)」←あげる人
  3. 送られたモノの「花(を)」
  4. 述語「動詞のもらいます」←受け取るという意味

述語が「習います」に変わっても語順は変わりません。

わたしは リンさんに 日本語を 教えます。

  1. 主語(主題)の「わたし(は)」
  2. 受け取る対象の「リンさん(に)」
  3. 教えるの目的語の「中国語(を)」
  4. 述語「動詞の習います」

比較的簡単ですね。

授受表現に関するまとめ

動詞により渡すもしくは受け取るの意味が変わる

動詞はセットで覚えるのが楽

基本的なセットリスト
主語(主題)が相手に渡す 主語(主題)が相手にもらう
あげます もらいます
貸します 借ります
教えます 習います
電話をかけます 電話をもらいます
手紙を書きます 手紙をもらいます

より細かく指摘すると、助詞の「に」が「から」に変化した方が自然な場合や、「からの」として目的語に差し出し主の情報を加えてしまった方が自然な場合もあります。また動詞の選択を間違うと意味が不明瞭になる場合があります。

  1. わたしは リンさんに 荷物を 送りました。
  2. わたしは リンさんに 荷物を もらいました。
  3. わたしは リンさんからの荷物を 受け取りました。

例文1は、間違いなく宅配便などを用いて発送したという意味ですね。

しかし例文2は、手渡しでもらった、もしくは配送方法はさておき、リンさんからの荷物を手元にもっているという意味になります。

例文3であれば、リンさんが発送した荷物を受領したという意味で間違いないです。

助詞の「で」の使い方

第6課までで勉強した助詞の「で」の使い方の復習

移動手段の「で」

自転車で 会社へ 行きます。
飛行機で 北京へ 行きました。
自動車で 家へ 帰ります。

移動手段は基本的には「で」を使います。これは簡単ですね。

徒歩で きました。
歩いて 来ました。

徒歩を使えば「で」となり「歩く」という動詞を使えば「歩いて」となります。

助詞は名詞に接続するので、動詞には接続できません。

飛行機で来ました。
飛んで来ました。

いくらか意味が変わってしまいますが、この比較も同じですね。

動作をおこなう場所の「で」

ショッピングモールで 買い物を します。
会社で 仕事を します。
学校で 勉強を します。
ベッドで 寝ます。

このように動作をおこなう場所の後には「で」を用います。

なぜか「へ」を選ぶ生徒が多いので気をつけてください。

工具・手段の「で」

早速例文で確認しましょう。

箸で ごはんを 食べます。
ジョッキで ビールを 飲みます。
はさみで 紙を 切ります。

このように動作をおこなうために使った道具の後にも「で」を使います。

言語の「で」

同様に言語も道具ですので、次のように言うことができます。

日本語で レポートを書きます。
中国語で 言ってください。
英語で なんと 言いますか。

助詞の「で」のまとめ

ここまでで考えた「で」の用法は下記の通りです。

  1. 移動手段の「で」
  2. 動作をおこなう場所の「で」
  3. 道具・手段の「で」
  4. 言語の「で」

ですから「で」は「手段」の「で」とまとめてしまってもいいわけです。

デートをする場所は、デートをするのに必要な場所です。

また道具、言語、移動手段もすべて「道具」であり「手段」と言えます。

ただ、生徒によってはわかりにくいので具体例ごとに用法を分けているだけです。

「もう+V過去肯定形」に関して

「もう+V過去肯定形」の意味と用法

すでになにかの行動が終了していることを「もう+V過去肯定形」を使って表現します。

もう食べました。
もう宿題をしました。

否定形に「もう」は使えません。

否定形にしたいときには「まだ」を使います。

誤)もう食べていません
正)まだ食べていません。
正)まだ宿題をしていません。

例文をみて「おやっ?」と思ったなら感がいいです。

  1. まだ食べませんでした。
  2. まだ食べていません。
  3. まだ食べません。

例文1は、完全に誤用です。意味がわかりません。

例文2は、なにかしら理由があって、食べることができていないという意味を伝えています。

例文3は、本人の決定で今は食べないというニュアンスを伝えていますね。聞き手は、なにがあったのかなと思うでしょうね。

「もう+過去肯定形 疑問文」の使い方

疑問文の作り方はとても簡単です。

もうお昼ご飯食べましたか。

はい、食べました。

いいえ、まだです。
いいえ、まだ食べていません。

この「食べていません」の表現は、みんなの日本語 初級 第31課で勉強します。

助詞の省略

日本語の言わなくてもわかることは極力言わないというルールに基づいて、係助詞の「は」や「も」は省略できます。

日本人的な発想として、下記の2つの例文は示す意味は同じですが、ちょっとニュアンスは違いように思うのですがみなさんはどう思われますか?

このスプーンは 素敵ですね。
このスプーン 素敵ですね。

助詞の「は」がない方が素直に感動の気持ちを表しているように思います。

  1. コーヒーを もう一杯 いかがですか。
  2. コーヒー もう一杯いかがですか。
  3. コーヒー もう一杯 いかがです?

こうなるとニュアンスがずいぶん違いますね。

例文1は、とても丁寧ですが、話し手と聞き手の間に距離を感じます。

それに対して、例文2は自然です。さらに例文3になると親しい間柄を感じます。

言葉の使い方を変えるだけで距離感が変わるのが面白いです。

みんなの日本語 第7課の特徴

第6課までで基本的な日本語の文型をマスターしています。

それで第7課以降はより複雑な日本語文型を毎回学ぶことになります。

授受表現はそれほど難しくはありませんが、「もう」を使う文の時制(テンス)は生徒によっては難しく感じるようです。

ただ中国語の場合のテンスは日本語と似ていますので「已经・还没・不」などを使った中国語の訳文と比較しつつ生徒が理解できるようにすれば良いと思います。

細かい内容については教案の部でご紹介します。

くまてつでした。

ABOUT ME
くまてつ先生
中日・英日翻訳者。中国語母語者にマンツーマンで日本語を教えています。教えた生徒はすでに40人以上。ほとんどが日本へ留学しています。また日本語教師向けのセミナーを毎月2回開催しています。